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IoT時代におけるクラウドサービスの在り方と、Neutrix Cloudの3つのミッション

Neutrix Cloud Japanは、クラウドストレージサービス・Neutrix Cloudを日本国内で展開するために、2020年に設立された新しい企業だ。Neutrix Cloudは、エンタープライズ向けのハードウェア・アプライアンスを製造・販売する米INFINIDAT社のクラウドストレージサービスだが、さらにNeutrix Cloud Japanではデータを処理するためのIaaSや、クラウドAI基盤(GPGPU)などを含むサービス全般を総合的に提供している。同社のChief Technology Officer 兼 製品・技術本部 本部長 髙橋信久氏が、IoT時代において最適解となるであろうNeutrix Cloudについて解説した。

Neutrix Cloud Japanの紹介と3つのミッションとは?

最初に間違いやすいのだが、Neutrix Cloud Japanは、関西電力系の通信事業者であるオプテージが100%出資した企業であり、INFINIDAT社の子会社というわけではないことに注意したい。同社は、あくまで日本の企業である。そしてNeutrix Cloud Japanには、3つの大きなミッションがあるという。

1つ目は真の意味でのデータ主権の回復だ。つまり「データ主権は、真の意味でお客様にあるべきで、それを実現できるサービスを提供すること」が重要だと考えている。

米国のGAFMAがもたらしたクラウドサービスは、データ主権や所有権という点で他国とは大きな違いがある。たとえばクラウドサービスを利用する際には、預けたデータを保持する課金以外は発生しないが、一度預けたデータを再度もとに戻すときはデータ容量に基づくトラフィック容量の課金が生じてしまう。

つまり、自分のデータであるのにも関わらず、データをアウトプットする際にお金がかかってしまうわけだ。これは、クラウド事業者にデータロックインされているのと同じことであり、データ主権が真の意味で顧客側にあるとはいえない。そこでNeutrix Cloudでは、ハイパースケーラのクラウドサービスを利用しながら、データロックインから解放される手段を提供する。

2つ目のミッションは、真のマルチクラウド利用を実現できるサービスを提供すること。企業経営におけるデータの重要性については議論の余地はないだろうが、その一方で多くのデータを最適に分析しようとすると、いろいろなサービスを併用しなければならず、これがサイロ化の1つの原因になっている。

日本企業が現在利用し始めているマルチクラウドは、データのサイロ化を伴ったマルチクラウドと言える。しかしNeutrix Cloudは、データのサイロ化を伴わないマルチクラウドが本当の意味でのマルチクラウドであり、これがベストの選択肢だと唱える。

3つ目のミッションは、データの二次・三次利用を実現できるサービスを提供することである。大容量データを安価で長期間保存するサービスに注力するというよりも、あくまで企業が重要なデータを二次・三次利用して、新たな価値を創造できる環境を提供することにフォーカスを当てているという。

Neutrix Cloudの「ゼロ・データグラビティ」と、セキュリティ&パフォマンス

Neutrix Cloudでは「ゼロ・データグラビティ」という世界観で、データ/アプリケーション/サービスを分離する利用形態を提唱しており、これが前出のような「真のマルチクラウド利用」になると考えているという。

このゼロ・データグラビティを実現するために、同社のサービスをオンラインストレージと捉えると理解しやすくなる。ただし単なる従来のオンラインストレージよりも、セキュリティやパフォーマンス面で大きく進化しており、その点が異なるものだという。

では、Neutrix Cloudにおいて、セキュリティやパフォーマンスがどのように進化したのだろうか? 

まずセキュリティについては、これまでIoT機器データはクラウドで管理する傾向があった。インターネット経由でデータをアップロードする際には、データ自体を暗号化したり、IPsecVPNなどで回線自体を暗号化して、セキュリティを担保していた。

しかしNeutrix Cloudでは、よりセキュアで安全な利用を目指し、ユーザーがネットワーク機器をクラウドに持ち込み、自社基準に合ったネットワークを構成できたり、専用線を引き込んだり、パブリッククラウドと閉域網接続を利用できるなど、柔軟性のある対応が可能だ。

セキュリティ面でゼロ・データグラビティを実現する。従来とNeutrix Cloudとの比較。クラウド側にユーザーのネットワーク機器を持ち込んだり、専用線を引き込んだり、閉域網接続の利用にも対応。

またパフォーマンス面は、IoT時代のクラウドサービスで非常に重要なポイントになる。IoT機器からデータを収集して分析を行って初めて価値が生まれるからだ。したがって分析できるパフォーマンスが求められるわけだ。

従来までは、パブリッククラウドにデータを送る場合、クラウド(データセンタ)が置かれる場所によって、どうしてもレイテンシ(遅延)が発生していた。そこでNeutrix Cloudでは、ハイパースケーラーのパブリッククラウド(AWS、MS Azure、GCP)と近い距離のサービス拠点を利用したり、オンプレミスクラウドの利用形態を提供することで、この問題を解消している。

パフォーマンス面でゼロ・データグラビティを実現する(その1)。パブリッククラウドとの近距離サービス拠点や、オンプレミスクラウド、エッジクラウドの導入により、パフォーマンス面を強化。

たとえば、オンプレミスクラウドでは「AWS Outposts」や「Azure Stack HCI」と同様に、Neutrix Cloudにもオンプレクラウドサービスを提供。これによりユーザー機器とNeutrix CloudがLAN環境で接続され、低レイテンシを実現できる。また同様の理屈でエッジクラウドの利用形態も提供中だ。

もちろんパフォーマンスは、レイテンシだけでは決まらない。データアクセス面でも影響する。ハイパースケーラのクラウドサービスは、一般的なIAサーバにDAS(Direct Attached Storage)接続のストレージを使って、広域分散ファイルシステムを構築している。しかし1つのデータが3面以上のミラーで構成されるため、コストに限界があった。またIAサーバは可用性が低く、業務アプリケーション系I/Oに弱点もあった。

一方、Neutrix Cloudでは、エンタープライズ向けの専用ストレージを採用しており、データアクセスに対する高速・高信頼・安全性があり、さらに容量とパフォーマンスに対する単価もアドバンテージがある。

パフォーマンス面でゼロ・データグラビティを実現する(その2)。Neutrix Cloudでは、データアクセスに対する高速・高信頼・安全性があるエンタープライズ向けの専用ストレージを採用している。

Neutrix Cloud Japanのビジネスモデルの概要と各機能の特徴は?

さて、ここからはNeutrix Cloudのビジネスモデルなどについて、ざっと俯瞰してみよう。

Neutrix Cloudのビジネスモデル(俯瞰図)。図の中央がNeutrix Cloud Japanが提供しているサービスだ。このうち上段はIaaSで提供するもので、中段はGPSやストレージ接続、下段は主に運用系だ。

同社が現状で提供しているのは、リージョンサイト/コンピュート/ネットワーク/ストレージ(いずれも独自のIaaSで提供)、データベース・OS・ライセンス/GPUaaS(GPU as a Service)/バックアップ・レピュリケーション/STaaS、ITマネージサービス(365日24時間対応)/ユーザーポータル/オンプレミス・クラウドサービス/OEMクラウドである。

このうち、同社のNeutrix Cloudのコアとなるのが前述の「STaaS」(Storage as a Service)だ。ネットワーク越しに使える「クラウド接続ストレジサービス」としての機能で、図の左側のAWS、MS Azure、GCPといったハイパースケーラのクラウドサービスと連携して利用できる。

他社サービスとの差別化のポイントは、以下のような「ストレージ」「コンピュート」「マルチクラウド」の3領域にあるという。

Neutrix Cloudの差別化の3つのポイントとなる「ストレージ」「コンピュート」「マルチクラウド」の領域。

1点目のストレージ領域では、ハイパースケーラのパブリッククラウドと比較してTCOを抑制できることが大きなメリットだ。たとえばブロックストレージでは月額固定で10円/GB、オブジェクトストレージでは2.5円/GBという換算で利用できる。他社のようにIOPSを増やしたり、データの出し入れやアウトバウンドで発生するようなオプション料金は発生しない。

また2点目のコンピュート領域では、リソースプール方式で提供するのが差別化のポイントだ。端的にいうと、日本企業がハイパースケーラのIaaSで競争しても価格面で勝てなかったが、Neutrix CloudのIaaSならば価格・性能面で彼らと伍すような環境を提供できるという。

3点目のマルチクラウド領域は、同社が提唱するところの「真の意味でのマルチクラウド」でメリットを発揮するということ。従来のパブリッククラウド間ではデータ移行が難しく、容量が大きくなると想定外の料金がかかってしまう。しかしNeutrix Cloudなら、そこにデータを置いておき、OSとアプリケーション(サーバ)についてはハイパースケーラ側のクラウド上のサーバで稼働しながら処理が行える。

Neutrix Cloudの差別化のポイント、マルチクラウドについて。Neutrix Cloudがメガクラウドとのデータハブやネットワークハブとなってデータ連携を可能にする。

また、前出のように各ハイパースケーラとの接続は専用線で接続することが可能で、よりセキュア環境で使えるし、各基盤と近いところでの運用となるため、ネットワークのレイテンシも低い。ほかにも数多くの特徴があるので、ご興味を持たれた方は同社(http://www.neutrix.co.jp/)から問い合わせてみるとよいだろう。

CAP クラウド事業者としては後発ながら、Neutrix Cloudには多くの特徴とメリットがある。興味のある方は一度問い合せてみると良いだろう。

★Neutrix Cloudの詳細、資料の請求はこちらよりも確認ください。

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