IPA:ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出状況[2022年第4四半期(10月~12月)]を公開
1. ソフトウェア等の脆弱性に関する取扱状況(概要)
1-1. 脆弱性関連情報の届出状況
脆弱性の届出件数の累計は17,845件
表1-1は情報セキュリティ早期警戒パートナーシップ脚注1における本四半期の脆弱性関連情報の届出件数、および届出受付開始(2004年7月8日)から本四半期末までの累計を示している。本四半期のソフトウェア製品に関する届出件数は78件、ウェブアプリケーション(以下、ウェブサイト)に関する届出は83件、合計161件。届出受付開始からの累計は17,845件で、内訳はソフトウェア製品に関するもの5,357件、ウェブサイトに関するもの12,488件でウェブサイトに関する届出が全体の約7割を占めている。
図1-1は過去3年間の届出件数の四半期ごとの推移を示したもの。本四半期は、ソフトウェア製品よりもウェブサイトに関して多くの届出があった。表1-2は過去3年間の四半期ごとの届出の累計および1就業日あたりの届出件数の推移。本四半期末までの1就業日あたりの届出件数は3.97件脚注2。
また、図1-2は、届出受付開始から2022年12月末までの届出件数の年ごとの推移である。過去、最も届出が多かった年は、「クロスサイト・スクリプティング」と「DNS情報の設定不備」に関して多くの届出がなされた2008年(2,622件)であった。2022年はソフトウェア製品が351件、ウェブサイトが364件の合計715件。ウェブサイトがソフトウェア製品の届出件数を上回り全体の51%を占めている。また昨年と比べて、ソフトウェア製品の届出は増加し、ウェブサイトの届出は減少した。
1-2. 脆弱性の修正完了状況
ソフトウェア製品およびウェブサイトの修正件数は累計10,907件
表1-3は本四半期、および届出受付開始から本四半期末までのソフトウェア製品とウェブサイトの修正完了件数を示している。ソフトウェア製品の場合、修正が完了すると(回避方法の策定のみでプログラムを修正しない場合を含む)、脆弱性情報や対策方法などをJVNに公表している。
本四半期にJVN公表したソフトウェア製品の件数は39件(累計2,488件)。そのうち、4件は製品開発者による自社製品の脆弱性の届出であった。なお、届出を受理してからJVN公表までの日数が45日以内のものは7件(18%)。また、JVN公表前に重要インフラ事業者等へ脆弱性対策情報を優先提供したのは、4件(累計62件)。
修正完了したウェブサイトの件数は74件(累計8,419件)。修正を完了した74件のうち、ウェブアプリケーションを修正したものは70件(95%)、当該ページを削除したものは4件(5%)で、運用で回避したものは0件(0%)であった。なお、修正を完了した74件のうち、ウェブサイト運営者へ脆弱性関連情報を通知してから90日脚注3以内に修正が完了したものは67件(91%)であった。
また、図1-3は、届出開始から2022年12月末までの修正完了件数の年ごとの推移を示している。過去、修正を完了した件数が最も多かった年は2009年の1,401件。2022年は、ソフトウェア製品が136件、ウェブサイトが217件の合計353件であった。
1-3. 連絡不能案件の取扱状況
本制度では、調整機関から連絡が取れない製品開発者を連絡不能開発者と呼び、連絡の糸口を得るため、当該製品開発者名等を公表して情報提供を求めている脚注4。製品開発者名を公表後、3ヶ月経過しても製品開発者から応答が得られない場合は、製品情報(対象製品の具体的な名称およびバージョン)を公表している。それでも応答が得られない場合は、情報提供の期限を追記する。情報提供の期限までに製品開発者から応答がない場合は、当該脆弱性情報の公表に向け、情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドラインに定められた条件を満たしているかを公表判定委員会脚注5で判定する。その判定を踏まえ、IPAが公表すると判定した脆弱性情報はJVNに公表される。
本四半期は、連絡不能開発者として新たに製品開発者名を公表したものはない。本四半期末時点の連絡不能開発者の累計公表件数は251件になる。
脚注
情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン
脆弱性情報ハンドリングとは?
1就業日あたりの届出件数は、「累計届出件数÷届出受付開始からの就業日数」にて算出。
対処の目安は、ウェブサイト運営者が脆弱性の通知を受けてから、3ヶ月以内。
連絡不能案件の脆弱性情報を公表するか否かを判定するためにIPAが組織している。
法律、サイバーセキュリティ、当該ソフトウェア製品分野の専門的な知識や経験を有する専門家、かつ、当該案件と利害関係のない者で構成されている。