政府、「サイバーセキュリティ戦略(案)」を公表し意見募集を開始
― 能動的サイバー防御導入を踏まえた新たな国家戦略を策定 ―
2025年11月7日、内閣官房国家サイバー統括室(NCO)は、新たな「サイバーセキュリティ戦略(案)」について、国民からの意見公募(パブリックコメント)を開始した。11月7日(金)から11月23日(日)まで、電子政府の総合窓口「e-Gov」から提出できる。
■ サイバーセキュリティ戦略の改定背景
サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)第12条に基づき、政府はおおむね3年ごとにサイバーセキュリティ戦略を策定している。現行の戦略は2022年(令和4年)9月28日に閣議決定されたものであり、今回の改定は社会・技術・安全保障環境の急速な変化を踏まえたものとなる。
近年、AI・量子技術などの先端分野が社会インフラや産業活動に浸透する一方、サイバー攻撃の高度化・国際的拡大が進んでおり、国家・企業・個人を問わず深刻なリスクが高まっている。こうした状況に対応し、「能動的サイバー防御」を導入可能とする法制度(サイバー対処能力強化法等)を2025年5月に成立させた。
■ 新たな体制と戦略の方向性
同年7月には、法施行の一部にあわせて「サイバーセキュリティ戦略本部」が改組。内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚が構成員となる強力な体制が発足した。第1回会合(7月1日)では「新たなサイバーセキュリティ戦略の方向性」が示され、同戦略(案)の策定に向けた専門家会議での議論が進められてきた。
今回公表された戦略案は、こうした議論の成果を踏まえ、国家レベルでの防御力強化と民間の自律的なサイバーリスク対応の両立を目指す内容となっている。
■ 意見公募の概要
- 対象:「サイバーセキュリティ戦略(案)」
- 期間:令和7年11月7日(金)~11月23日(日)必着
- 提出方法:「e-Gov」上の意見提出フォームから送信(日本語のみ)
■ 今後の見通し
政府は、寄せられた意見を踏まえて最終的な戦略を策定し、国家全体での能動的サイバー防御体制の整備や、国際連携の強化・民間との協働推進を具体化していく方針だ。
新戦略は、我が国のサイバー空間の安全確保のみならず、経済安全保障や産業競争力の観点からも重要な役割を持つ。
