金沢工業大学、学生主導の「サイバーセキュリティ・クリニック」を推進
生成AI時代のサイバーリスクに対応し、地域の中小組織を支援
金沢工業大学は、情報デザイン学部(経営情報学科・環境デザイン創成学科)の狩野剛研究室、平本督太郎研究室、池田梨花研究室およびSDGs推進センター(所長:平本督太郎)を中心に、地域の中小企業や市民団体を対象とした実践支援プログラム「サイバーセキュリティ・クリニック」を推進すると発表した。生成AI活用とサイバーセキュリティ対策を同時に支援する、国内でも先進的な大学拠点型プロジェクトとなる。
本プロジェクトは、The Asia Foundation(アジア財団)とGoogle.orgが支援する「APAC Cyber Security Fund」によるアジア各国プログラムとの連携事業で、日本における最初のパートナー大学として同大学が参画する。
生成AI活用とセキュリティ対策を一体支援
近年、生成AIの急速な普及と企業のDX推進により、中小企業においてもAI活用は避けて通れない経営課題となっている。一方で、ランサムウェアやフィッシング詐欺、なりすまし攻撃などサイバー脅威は高度化しており、AI導入に伴う新たなリスクも顕在化している。
企業ヒアリングでは「AI活用には関心があるが、セキュリティ面の不安から導入に踏み切れない」といった声が多く寄せられているという。
「サイバーセキュリティ・クリニック」では、学生がファシリテーターとして地域組織に伴走。生成AIの業務活用支援と同時に、基本的なサイバーハイジーン(基礎的セキュリティ対策)の強化を図る。技術支援にとどまらず、組織内の意識改革や実践的な体制構築までを支援する点が特徴だ。
ゲーミフィケーションを活用した実践教育
教育面では、同大学の強みである実践教育とゲーミフィケーションを活用。サイバー攻撃と防御を体験的に学べる教材や、生成AIの業務活用をテーマとした参加型ワークショップを統合した新たな教育コンテンツを開発する。
SDGs推進センターの若手研究員が経営する、SDGs×ゲーミフィケーション専門企業「株式会社LODU」とも連携し、地域組織のセキュリティ意識とAI活用能力の向上を目指す。
学生の実践力育成にも寄与
本プロジェクトは、支援を受ける地域組織だけでなく、参加学生にとっても大きな学修機会となる。学生は技術的知識の応用に加え、地域組織との対話を通じてコミュニケーション力や課題解決力を実践的に養う。社会実装を意識した人材育成モデルとしても注目される。
金沢工業大学は「自ら考え行動する創造的探究・実践人材の育成」を教育理念に掲げており、社会課題と直結したプロジェクト型教育を推進している。今回の取り組みは、生成AI時代における地域のデジタル活用と安全性の両立を支えるとともに、次世代サイバー人材の育成拠点としての役割を強化するものとなる。
APAC Cyber Security Fundについて
APAC Cyber Security Fundは、Googleのフィランソロピー部門Google.orgの支援を受け、The Asia Foundationが実施する取り組み。アジア太平洋地域における包摂的かつ持続可能なサイバーセキュリティ・エコシステムの構築を目的とする。
サイバーハイジーン研修、政策研究、ステークホルダー連携を通じて、中小企業、非営利団体、ソーシャルエンタープライズのサイバー・レジリエンス向上を支援。また、20以上の大学にサイバークリニックを設立するなど、地域の人材育成と長期的な能力構築にも投資している。
同プログラムは、オーストラリア、バングラデシュ、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナムの13カ国で展開されている。
生成AI活用とサイバーセキュリティ対策を「同時実装」する大学発の地域支援モデルとして、今後の展開が注目される。