社長になりすます詐欺メールが急増 LINE誘導で振込指示
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、実在する社長や企業名をかたる詐欺メールが急増しているとして、企業・組織に対し注意喚起を行った。2025年12月中旬以降に相談が増加しており、2025年12月16日から2026年3月10日までの間に、同手口に関する相談は106件に上っている。
LINE誘導後に振込指示する手口
確認されている手口では、社長や社員を装ったメールを送りつけ、「LINEグループの作成」や「QRコードの返信」を指示するケースが多い。受信者が指示に従いLINEグループを作成すると、攻撃者はその中で社長などになりすまし、取引を装って金銭の振り込みを指示する。
IPAによると、相談窓口に寄せられた中では現時点で金銭被害の報告はないものの、報道では実際に高額な振込被害が発生した事例も確認されているという。
フリーメールやメーリングリスト悪用
詐欺メールにはいくつかの共通した特徴がある。差出人名には自社や取引先の社長・社員名が表示される一方で、送信元メールアドレスにはGmailやOutlookなどのフリーメールが使われるケースが多い。
また、宛先には企業のメーリングリストが利用されることが多く、件名に自社名が使われるなど、受信者に不審感を抱かせにくい工夫が見られる。本文では「他の人をグループに入れないように」といった指示が含まれることも特徴だ。
さらに一部では、マルウェア感染を狙った添付ファイルが付与されているケースも確認されている。
「メールを起点に別チャネルへ誘導」が特徴
今回の手口の特徴は、メール単体で完結せず、LINEという別のコミュニケーション手段へ誘導する点にある。メールでの違和感を回避しつつ、クローズドな環境で指示を出すことで、被害者の警戒心を低下させる狙いがあるとみられる。
いわゆるビジネスメール詐欺(BEC)の一種だが、チャットツールを組み合わせることで、より巧妙化している。
不審メールは無視・別経路で確認を
IPAは対策として、不審なメールは無視・削除することを基本とし、記載されたURLへのアクセスや添付ファイルの開封を避けるよう呼びかけている。
また、送信者を確認する場合でも、メールへの返信ではなく電話など別の手段で確認することが重要だとしている。社内ルールが整備されている場合は、速やかに報告するよう求めている。
組織的対策と教育の徹底を
あわせて、日常的な対策として以下のような取り組みの重要性を指摘する。
- 不審メールの報告手順の整備と運用
- 振込時の二重チェックなど承認フローの確立
- 社内への事例共有とセキュリティ教育の実施
同機構は、こうした詐欺メールが今後も継続的に送信される可能性が高いとして、組織全体での対策強化を求めている。
出典:安全相談窓口だより 社長等をかたる詐欺メールに注意!