2024年オンラインで検索すると危険なセレブTOP10
- ディープフェイクといった生成AIの台頭により、サイバー攻撃者は有名人の名前や顔を悪用し、疑いを持たない消費者をマルウェアや危険なオンラインサイトに誘導し、金銭や個人情報を搾取するケースが増加している。
- 有名人のアイデンティティを悪用した詐欺は、より巧妙になっており、サイバー攻撃者が音声や画像、動画をより迅速かつ正確に偽装することを可能にするAI技術とともに進化している。
- TOP10には、ジョニー・デップやトム・ハンクスなどの俳優をはじめ、テイラー・スウィフトやサブリナ・カーペンターなどの歌手、カイリー・ジェンナーやアディソン・レイなどのインフルエンサーといったさまざまなセレブがランクインしており、詐欺師がオンライン詐欺のために新旧のスターを悪用している実態が浮き彫りになっている。
オンラインのセキュリティ対策製品を提供しているマカフィー株式会社は、米国における詐欺に悪用されやすい有名人を調査した「2024年オンラインで検索すると危険なセレブTOP10」を発表した。俳優のスカーレット・ヨハンソンは、サイバー攻撃者から最も悪用された米国のセレブとしてランクインした。
AIの進化により、消費者が知らずにマルウェアをインストールし、データ、プライバシー、アイデンティティが侵害される可能性のある危険な検索結果を生成するだけでなく、オンライン詐欺に悪用される不正な動画、画像、音声クリップであるディープフェイクをこれまで以上に簡単に、かつ迅速に作成できるようになった。こうした詐欺は、消費者を欺いて金銭を騙し取るだけでなく、有名人のブランドやビジネスに損害を与える可能性もある。
「オンライン詐欺で最も狙われやすい有名人」として、今年トップにランクインしたのは、マーベル・シネマティック・ユニバースの各作品でブラック・ウィドウ役を演じた俳優のスカーレット・ヨハンソン。ヨハンソンがランクインしたことは、詐欺の進化を反映している。すなわち、彼女の肖像が、生成AIの広告や推薦文に本人の許可なく使用されたことは、金銭搾取を目的とした詐欺から、有名人の画像や動画、音声などのより広範な悪用へと詐欺の傾向が変化していることを示している。ヨハンソンは、生成AIコンテンツによる肖像権の侵害に抗議しており、ますますAIが偽情報のために利用されるようになってきたことをさらに浮き彫りにしている。
セレブのニュースを毎日チェックし、最新の割引や各種チケットを探す消費者にとって、オンライン上の安全性は即時性や利便性に比べると優先順位が低くなりがち。人気の検索キーワードである、音楽や映画のダウンロード、セレブが推奨する商品の割引、暗号資産への投資、人気コンサートのチケットなど、無料または割引価格のアイテムを求める消費者は、すべて偽サイトやマルウェアにさらされる可能性がある。それらの悪質なサイトやマルウェアは、金銭を盗み、機密情報を危険にさらす。さらに、不正な推奨や誤解を招くコンテンツでディープフェイクがますます使用されるようになったため、詐欺や誤情報の増加に拍車がかかっている。被害者は250ドル(3万7千円)から50万ドル(7千4百万円)以上の金銭的損失を報告しており、その影響は人生を一変させる可能性がある。
「2024年オンラインで検索すると危険なセレブTOP10」
マカフィーの調査チームは、SNSインフルエンサーを含む、悪意のあるディープフェイク詐欺や、消費者が気づかないうちにマルウェアをインストールしたり、データ、プライバシー、アイデンティティを危険にさらす詐欺に遭う可能性のある危険な検索結果で、最も頻繁に名前や肖像が利用されている有名人を特定し、「2024年オンラインで検索すると危険なセレブTOP10」を作成した。
TOP10のリストには、長年活躍しているタレントから最近知名度が上がってきた様々な分野のセレブがならび、あらゆる世代の消費者に対する影響力を示している。
- スカーレット・ヨハンソン(俳優兼歌手): 広告や推薦文に無断で自身の名前と肖像が使用されてきました。AI生成コンテンツへの無断使用に反対する積極的な支持者。
- カイリー・ジェンナー(インフルエンサー): リアリティ番組のスターであり、名前と肖像が無断でSNSのプレゼントキャンペーン詐欺、偽物のカイリー・コスメティック製品やウェブサイトに使用された。
- テイラー・スウィフト(歌手): 名前と肖像が無断で使用された歌手。有名人の推奨、チケット詐欺、商品プレゼント詐欺、さらには政治的推薦といったデマにも利用された。
- アニヤ・テイラー=ジョイ(俳優): 名前、およびソーシャルアカウントや肖像が無断でプレゼント詐欺に利用され、また彼女のストリーミングシリーズに関する誤った情報が拡散された。
- トム・ハンクス(俳優):名前と肖像が「奇跡の治療薬や驚異の薬」の宣伝に不正使用された。
- サブリナ・カーペンター(歌手):名前と肖像が無断で偽のチケット詐欺に使用され、アダルト画像作成アプリの宣伝に彼女の肖像が使用された。
- シドニー・スウィーニー(俳優):暗号資産の詐欺に名前と肖像が使用された。
- ブレイク・ライブリー(俳優):ダイエットグミの詐欺に名前が使用された。
- ジョニー・デップ(俳優):プレゼントキャンペーン、暗号資産、資金調達などの詐欺に肖像が使用された。
- アディソン・レイ(歌手兼俳優):偽の推奨やプレゼントキャンペーン、暗号資産の詐欺に肖像が使用された。
ディープフェイク: ハッカーが使う最新ツール、有名人関連の詐欺
詐欺師は、AIで生成されたディープフェイク、フィッシング詐欺、なりすまし詐欺など、さまざまな手口で有名人の名前・イメージを悪用し、消費者を欺くケースが増えている。マカフィーの調査チームの分析によると、暗号資産、チケット、プレゼントキャンペーンなど多岐にわたる内容で詐欺の罠が仕掛けられていることが明らかになった。
米国マカフィー(McAfee, LLC、本社:米国カリフォルニア州)の脅威リサーチ部門の責任者であるアビシェック・カルニックは、次の通り述べている。
「セレブのニュースが日常会話の一部となり、ボタンをクリックするだけでそのような情報にアクセスできる時代において、人々はオンラインの安全性よりも利便性を優先し、セレブのコンテンツや関連グッズを約束する怪しいリンクをクリックしてしまうことがよくあります。しかしながら、あまりにも都合が良すぎる話には、よく考えてから行動すべきです。サイバー攻撃者が高度なAIツールを使用して、より信憑性の高い詐欺を仕掛けるようになっているため、リスクは増大しており、有名人の名前は興味本位の消費者を惹きつける格好の餌となっています。だからこそ、人々は警戒を怠らず、クリックする前に考え直す必要があります。AIが生成したコンテンツが常に有害であるとは限りませんが、何が本物で何が偽物なのかを見分けるのが難しくなっています。違いを知ることで、金銭的なリスクを軽減し、個人情報を保護することができます。『2024年オンラインで検索すると危険なセレブTOP10』では、AIによる詐欺のリスクが高まっていることを認識してもらい、人々がオンラインで安全・安心に過ごせることを目指しています。」
消費者はネット上でも用心が必要
AIによる詐欺から消費者を保護するべく、マカフィーは、世界初のAIによる自動ディープフェイク検出機能である「マカフィー ディープフェイク検知」を発表した。この技術は、20万件近くのサンプルを元にトレーニングを積み、視聴中の動画にAIで加工された音声が含まれている場合、数秒以内にそれを識別し、ユーザーに警告を出す。
消費者がより安全にネットを利用するための推奨事項は下記の通り。
- 情報の出所を検証する: SNSは、誤情報や詐欺の巣窟です。マカフィーの調査で、SNSユーザーの72%が、フェイクニュースや詐欺などのAI生成コンテンツを見分けるのは難しいと回答している。そのため、コンテンツには健全な懐疑心を持って接するべきである。衝撃的な主張や疑わしい主張を見つけた場合は、信頼できる情報源やサイトなどで事実検証が必要だ。
- 注意して使用する: 不確かなコンテンツの共有や利用は避ける。投稿にコメントすることやリンクをクリックするだけでも、詐欺や誤情報に遭う可能性が高くなる。
- ディープフェイクを検知する: 不自然な瞬きや目の動き、不自然な手や歯、音声が話者の唇と一致していない、または音質が歪んでいるなどコンテンツにわずかでも不整合がないかを確認する。
- 自分の判断力を活用する: 動画や音声で、特に有名人が予想外の主張や宣伝を行っている場合は、一度立ち止まってそれが正当なものかどうかを疑う。また、事実よりも感情に強く訴えかけるコンテンツには注意が必要。そのようなコンテンツは、しばしば合理的な分析を回避し、即座な反応を引き起こすように設計されているからである。
- McAfee+のような総合的なオンライン保護に投資する: 個人情報、プライバシー、デバイス保護を最大限に提供する製品の活用も対策の一つになりえる。不審なリンクやサイト(最新のセレブ関連のニュースといった場合)を検知し、保護する機能で、自分自身や家族のオンラインでの安全を確保し、より安心してオンラインライフを楽しむ。AI PCをお使いの方は「マカフィー ディープフェイク検知」を活用することも検討すべきだ。
調査方法
この調査は、マカフィーの脅威情報調査チームが実施したもので、よく使われる用語で有名人の名前を検索した際に生成されるリスクの高いサイトの数と誤解を招くコンテンツの量を特定することを目的としています。各有名人について、McAfee WebAdvisorの結果と2024年1月1日から9月15日の間に記録された既知のディープフェイクの分析を組み合わせてリスクスコアが算出されました。マカフィーのWebAdvisorブラウザ拡張機能は、マカフィーの技術を活用して悪意のあるウェブサイトからユーザーを保護し、有効にすると、検出したほぼすべてのウェブサイトを評価し、そのリスクレベルを赤、黄、緑のアイコンで表示し、悪意のあるURLやリスクの高いURLをクリックすると、アクセスをブロックしたり、ユーザーに警告を発します。評価は、特許取得済みの高度な技術を使用してウェブサイトを自動的にテストすることで作成され、Chrome、Edge、Safari、Firefoxなどのブラウザで作動します。
出典:PRTimes マカフィー、「2024年オンラインで検索すると危険なセレブTOP10 」を発表