サイバーリスクとは?すぐにできる対策と被害事例を徹底解説!
インターネットを利用する全ての企業や個人にとって、サイバーリスクへの対策はもはや避けては通れない課題です。
サイバー攻撃を仕掛けてくるハッカーやクラッカーは、日々手口を巧妙化させており、標的も大企業に留まらず、中小企業や個人にまで及んでいます。
しかも、ひとたび被害に遭えば、情報漏洩による信用失墜や業務停止、法的責任といった深刻な影響を及ぼすことも考えられます。
そんなサイバーリスクに備えるためには、正しい知識を身につけておかなければなりません。
そこで今回は「サイバーリスクとは何か」を基礎から解説するとともに、代表的な攻撃手法や具体的な対策を紹介していきます。
サイバーリスクとは?
サイバーリスクとは、サイバー攻撃を受けた際に生じるさまざまな被害や支障のことです。
サイバー攻撃は、パソコンやスマートフォンなどのコンピューターシステムにネットワークを通じて侵入し、個人情報の窃取やシステム破壊、データ改ざんを行うことを指します。
そのターゲットは、国家や企業、組織や個人など無差別であり、手口は日に日に高度化・巧妙化しています。
現代社会において、インターネットは日常生活にもビジネスにも欠かせないツールとなっていますが、ITへの依存度が高くなるにつれて、サイバーリスクも増えるため、しっかりと対策をしておかなければなりません。
代表的なサイバー攻撃7選
サイバー攻撃にはさまざまなものがありますが、中でも代表的なのは以下7つです。
・DDoS攻撃
・マルウェア攻撃
・ランサムウェア攻撃
・フィッシング攻撃
・サプライチェーン攻撃
・ビジネスメール攻撃
・内部不正
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
DDoS攻撃
DDoS攻撃とは、複数の端末から大量のデータを送信し、過剰な負荷をかけて攻撃する手法のことです。
これにより、サーバーやシステムをダウンさせ、企業活動に重大な支障をきたすのが主な目的となります。
企業が主なターゲットになりますが、一度被害を受けると売上低下や企業イメージの低下など、さまざまな被害に繋がるため徹底的に対策をしておかなければなりません。
マルウェア攻撃
マルウェアとは、悪意のあるソフトウェアの総称です。
ユーザーの端末に不正なプログラムを感染させることで、情報漏洩や則り、遠隔操作などを可能にします。
マルウェアには、トロイの木馬やワーム、スパイウェアなど多くの種類があり、感染経路もメールの添付ファイルや偽装サイト、USBなど多岐にわたります。
ランサムウェア攻撃
マルウェアの中でも特に悪質なのが、ランサムウェアです。
ランサムウェアは、コンピューターに感染し、アクセスを制限したり、データベースを暗号化したりするマルウェアです。
ほとんどの場合、アクセス制限や暗号化を解除するための身代金を要求してきます。
フィッシング攻撃
フィッシング攻撃とは、実在する企業やサービスを偽った偽のメールやサイトを通じて、IDやパスワード、クレジットカード情報などを盗み取る手法です。
実在しているロゴや、あたかも企業の担当者が作成しているかのような丁寧なメールを送ってくるため、見分けがつきにくいです。
近年では、大手金融機関やECサイトを騙る手口が多くなっています。
サプライチェーン攻撃
サプライチェーン攻撃とは、取引先や外注先のセキュリティの脆弱性を突いて、間接的に攻撃する手口のことです。
この手法は、大企業などセキュリティレベルの高いシステムに侵入する目的で活用されることが多いです。
大企業と取引のある中小企業や個人のシステムに侵入し、これを経由して大手企業のシステムへと侵入していきます。
ビジネスメール攻撃
ビジネスメール攻撃とは、偽のメールを使った攻撃のことです。
経営者や取引先を装って、従業員に不正送金を指示したり、記載されたURLをクリックするように仕向けてマルウェアをインストールしたりと、手口はさまざまです。
特定のターゲットを狙って行うケースもありますが、中には不特定多数に対して一斉送信しているケースもあるため、怪しいメールは開かないようにしましょう。
内部不正
サイバーリスクと聞いて、多くの方は「外部による攻撃」をイメージするでしょう。
たしかに、ほとんどの場合は、名前も顔も知らないようなハッカーやクラッカーによって攻撃されます。
しかし、組織の内部にもサイバーリスクは潜んでいるのです。
例えば、社内の関係者が故意あるいはミスによって、機密情報を社外に漏洩させたり、データを不正に改ざんあるいは消去したりするケースもあります。
このような不正行為は、発覚に時間がかかることもあり、事態が深刻化しやすいです。
【企業向け】すぐにできるサイバーリスク対策4選
サイバーリスクに備えるためには、企業として対策を行う必要があります。
ここからは、すぐにできるサイバーリスク対策を紹介しますので、まだ対策を行っていない企業はぜひ実装してみてください。
セキュリティシステムを活用する
ウイルス対策ソフトやファイアウォール、EDR(エンドポイント検出)など、最新の機能を備えたセキュリティツールを導入することで、サイバー攻撃のリスクを大幅に軽減できます。
近年では、導入や管理の手間が少なく、初期コストも抑えやすいクラウド型のセキュリティツールが人気です。
とはいえ、各ツールで機能性や料金が異なるため、まずは複数のツールを比較し、自社に合ったものを慎重に探していきましょう。
アクセス権を適切に管理する
従業員全員に無制限のアクセス権を与えると、内部不正やマルウェア感染などの被害が広がりやすくなります。
サイバーリスクに備えるためには、役職や業務内容に応じた適切な権限を付与することが大切です。
また、意外と盲点になりやすいのが退職者の権限管理です。
アカウントを削除していなかったり、権限を停止していなかったりすると、情報漏洩や各種不正のリスクが高まるため注意してください。
サイバー保険に加入する
サイバー攻撃のリスクが高まっている昨今では、万が一に備えるという意味で「サイバー保険」に加入する企業が増えています。
サイバー保険に加入することで、攻撃を防ぎきれなかった場合でも、損失の一部または全部を補填してもらえるようになります。
中には、セキュリティ診断やリスク評価サービスがセットになっているプランもあり、保険そのものがセキュリティ向上の一歩になる場合もありますので、ぜひ検討してみてください。
情報セキュリティ教育を行う
どれだけ優れたシステムを導入しても、従業員の知識が不足していたり、認識が甘かったりすると被害に遭いやすくなります。
最終的にサイバー攻撃の対象になるのは、いつの時代も「人」です。
定期的に情報セキュリティ教育を行い、従業員一人ひとりの意識を高めることで、サイバーリスクを軽減しやすくなります。
【従業員向け】すぐにできるサイバーリスク対策4選
サイバー攻撃の多くは、従業員一人ひとりのちょっとした油断から始まります。
企業全体でセキュリティレベルを向上させるには、各従業員が日々の業務でリスクを意識し、基本的な対策を確実に実施することが大切です。
ここでは、すぐに実行可能な対策を4つ紹介します。
ID管理の徹底
強固なパスワード設定と多要素認証は、サイバー攻撃の侵入口を閉ざす第一歩です。
「123456」や「abcdefg」といった簡易的なパスワードは避け、英数字や記号を組み合わせた推測されにくいパスワードを設定しましょう。
また、システムごとに異なるパスワードを使用し、定期的に変更するのもおすすめです。
ただし、複雑なパスワードはサイバー攻撃を防ぎやすいですが、混乱を招く原因にもなるため注意してください。
ソフトウェアのアップデート
ソフトウェアやOSのアップデートは、セキュリティホールを防ぐ重要な手段です。
いつまでも古いバージョンを使い続けていると、既知の脆弱性を悪用されるリスクが高まります。
管理者が定期的に更新状況をチェックすることも大切ですが、従業員が自ら意識してアップデートを行うことも大切です。
アップデートをつい忘れてしまうという場合は、自動更新機能を有効にしておきましょう。
不審なサイト・メールにはアクセスしない
サイバー攻撃の多くは、巧妙に仕掛けられたメールや偽サイトを入り口にして感染・侵入を図ります。
送信者名が関係者になっていたり、本文がそれらしいものになっていたとしても、添付ファイルやリンク先に悪質なウイルスが仕込まれている場合があるため注意が必要です。
万が一、怪しいと感じる不自然なメールが届いた場合は絶対に開かず、社内のセキュリティ担当者に報告しましょう。
また、業務に関係のないWebサイトへのアクセスもサイバーリスクを高めてしまうため、職場では利用を控えることが望ましいです。
こまめにバックアップを取る
万が一ランサムウェアなどでデータが暗号化されてしまったとしても、バックアップが取れていれば復旧できます。
定期的にファイルをバックアップする習慣は、サイバーリスクの備えとして極めて有効です。
クラウドストレージや外付けハードディスクなど、複数の場所にデータを保管しておくことで、より堅牢な体制を構築できます。
まとめ
デジタル化が進む現代において、サイバーリスクはもはや一部の企業だけでなく、あらゆる業種・規模の組織、さらには個人にとっても無視できない脅威となっています。
サイバー攻撃の手法は日に日に進化しているため、被害リスクを完全にゼロにすることは難しいです。
しかし、一つひとつの対策を丁寧に積み重ねていくことで、リスクを最小限に抑えらえます。
企業として対策を行うことも大切ですが、従業員のセキュリティ意識を高める取り組みも重要ですので、定期的に情報セキュリティ教育を行い、全体のセキュリティレベルを底上げしてサイバーリスクに備えましょう。