盗難暗号資産追跡・回収サービス 日本で提供開始
Match Systems Solutions Pte Ltd(本社:アラブ首長国連邦ドバイ首長国、以下マッチシステムズ)は、サイバー攻撃などにより盗難被害に遭った暗号資産の追跡および資産回収支援サービスを日本で提供開始した。マッチシステムズはブロックチェーンデータ分析を用いて違法取引を調査し、詐欺や盗難などの犯罪に対抗する「ブロックチェーンフォレンジック」に特化している。
急成長するブロックチェーンセキュリティ市場
ブロックチェーンセキュリティ市場は、今後大幅な成長が予測されている。TechSci Researchの調査によると、ブロックチェーンセキュリティ市場は2024年時点で44.5億ドル(約7,000億円)と評価されており、2030年までには1,002億ドル(約15兆円)に成長する見通しであるとされている。
マッチシステムズは、この急成長する市場において、ブロックチェーンデータ分析を通じた違法取引の調査に特化し、「ブロックチェーンフォレンジック」の領域でサービスを展開している。ブロックチェーン上の資金の流れを分析し、犯罪行為の特定や証拠収集に活用する点が特徴である。
世界的に増加するハッキング被害と日本での大規模事案
暗号資産のハッキング被害は世界的に年々増加している。Chainalysisのレポートによれば、2024年には暗号資産のハッキング被害額が22億ドル(約3,400億円)であったのに対し、2025年には40億ドル(約6,300億円)を超えることが予測されている。今後も被害額の増加が予測されており、より高度なブロックチェーンフォレンジックの必要性が高まっていると位置付けられている。
日本国内でも、大規模なハッキング事案が相次いでいる。2024年には、北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループ「ラザルス」の下部組織によるDMM Bitcoinからの約482億円相当のビットコインの不正流出が発生した。この事例は国内で過去最大規模のハッキングとなり、日本のブロックチェーン業界に大きな衝撃を与えたとされる。
さらに2025年には、SBI Cryptoが31.5億円相当の大規模なハッキング被害を受けており、日本の暗号資産市場におけるサイバー犯罪リスクの高さが改めて浮き彫りになっている。このような状況のなか、盗難暗号資産の追跡 / 回収や高度なフォレンジック調査へのニーズが一層強まっている。
マッチシステムズの体制とグローバルネットワーク
マッチシステムズは、世界で累計100億円超の不正流出暗号資産の回収に成功している。組織には、技術者、リサーチャー、元警察官僚など暗号資産領域の専門家が50名以上在籍し、10年以上にわたる業界経験を通じて、世界各国の法執行機関や警察組織、大学、サイバーセキュリティ企業との強固なネットワークを構築してきたとしている。
これらの専門性とネットワークを活用し、各ケースに最適なチームを編成して対応する。国内外の関連機関と連携しながら、最も効果的な対応を実施する体制を整えている点が、同社サービスの強みだとしている。
サイバー犯罪調査・デジタル資産回収支援
マッチシステムズが日本で提供するサービスの1つ目は、「サイバー犯罪調査・デジタル資産回収支援」である。
ハッキング、フィッシング、不正送金・詐欺などにより喪失したデジタル資産の事案について、ブロックチェーンを横断した詳細なフォレンジック調査を実施する。独自のブロックチェーン分析ツールを用いて、盗難資金の追跡、関連アドレスや関与主体の特定、資産凍結・回収に向けたエビデンス構築を行う。
さらに、世界各国の法執行機関や暗号資産取引所と連携し、実際の資産回収につながる実務支援まで一貫して対応する構成となっている。
トランザクションモニタリング・AML / CTFコンプライアンス支援
2つ目は、「トランザクションモニタリング・AML(マネーロンダリング対策) / CTF(テロ資金供与対策)コンプライアンス支援」である。
取引所、ウォレット事業者、金融機関、フィンテック企業などを対象に、ウォレット監査やリスク評価(スクリーニング)を実施し、AMLおよびCTFに関する各国規制への対応を支援する。
ブロックチェーン取引を常時モニタリングし、不審なトランザクションや高リスクアドレスを検知する。独自データベースと分析エンジンにより、違法取引の可能性があるフローを早期に把握し、金融犯罪の未然防止に貢献することを狙いとしている。
国外法執行機関・規制当局との連携支援
3つ目は、「国外の法執行機関・規制当局との連携支援」である。
各国当局が扱う捜査・係争案件について、デジタル資産の専門的な分析を実施し、エビデンスや技術レポートを提供して調査を技術的に補完する。暗号資産業界と規制当局の「橋渡し役」として、制度整備やエンフォースメントの高度化に寄与し、国際的なマネーロンダリングおよび金融犯罪防止の取り組みを後押しする役割を担うとしている。
なお、本文内のドル円換算については、1ドル150円として概算していることが明記されている。
