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第2回 Open Source Security Foundation (OpenSSF)  Meetup その2(SBOM、SLSA)

Open Source Security Foundation (OpenSSF)が、第2回のMeetupを開催した。
第2回は、カナダのバンクーバーで開催されたOpenSSF Day North Americaから。その1に続き、今回は、SBOM、SLSA(サルサ)などに関連したトピックの解説を紹介する。文末に、この講演の投影資料、動画をリンクしているので、そちらも参照されたい。

登壇者は、日立製作所 研究開発グループ サービスシステムイノベーションセンタ デジタルエコノミー研究部 山本 穂奈美 氏だ。

日立製作所は今年から、OpenSSFメンバーに加入し、ソフトウエア・サプライチェーン・セキュリティに注力する。そこで、OpenSSF Day North Americaに参加したという。その中から山本氏は、「SBOM」と「SLSA」といったキーワードをもとに、ソフトウエア・サプライチェーン・セキュリティについて説明した。

SBOMのセッションについて

このセッションは、SBOM Primerとして、入門編のようなセッションであった。「SBOMとは何か?」「なぜ必要か」「いつ作成して、どう使うか」から、「SBOMの今後」までを紹介する講演であった。

SBOM(Software Bill of Materials:ソフトウエア部品表)は、ソフトウエアを構成するコンポーネントに関する詳細とサプライチェーン関係を記載した記録でのこと。2021年の米国大統領令「国家のサイバーセキュリティの向上に関する大統領令」により、ソフトウエア・サプライチェーン・セキュリティの強化への対応策の一つとして挙げられ、近年特に注目されているものだ。

山本氏は、SBOMの標準フォーマットのうちから3つ、「SPDX」「CycloneDX」「SWID」について解説した。

次に、SBOMの最小限の要件についても説明した。

さらにSBOMの生成ツールについても詳しく説明されているので、ぜひ動画で確認してほしい。

このセッションの最後には、SBOMの今後について解説がなされ、「SBOM for Software」「SBOM for AI」「SBOM for Data」「SBOM for SaaS」というように、SBOMを活用する方針が述べられた。 このうち山本氏が興味を惹いたのはSBOM for AIだ。具体的にはこれからのようだが、今後AIでどうSBOMを活用していくかを議論していくことが発表されたとのこと。

また別のセッションでもSBOMについて語られており、そちらについても紹介した。

このセッションでは、DevOpsパイプラインを強化する新しいオープンソース・セキュリティツールを紹介する講演で、5つのフェーズでのセキュリティツールの検討などが紹介された。

紹介されたフェーズでSBOMが関わるところとして、Phase2と3が挙げられる。下記の写真を参考にしてほしい。

以上がSBOMについて紹介されたものである。

SLSAのセッションについて

山本氏は、SBOMに続いて「SLSA」(Supply chain Levels for Software Artifacts)について解説を行った。

SLSAの講演では、SLSA Frameworkの概要とSLSA v1.0がリリースされたことで、そのカバー範囲と効果が説明された。

SLSA Frameworkの概要は、下の写真のようなソフトウエア・サプライチェーンをモデル化したものであるが、Source/Dependency/Buildにおける脅威を「AからH」(Source→Build→Dependencies→Package)まで考え、SLSA v1.0は「EからH」(Build→Package)までの脅威を軽減しようというものだ。

SLSA Frameworkは、「Build Track」「Source Track」「Dependency Track」の3つのトラックで構成されており、それぞれがLevel1から4まである。今回リリースされたSLSA v1.0では、Build TrackのLevel1から3までを対象としている。

その具体的な説明としては以下の写真のようになる。

さらにSLSAの公式マークの取得についての説明も行われた。 所得方法は「自己証明による所得」と「サードパーティの監査による取得」の2通りがある。

次に、山本氏は別セッションで紹介されたSLSAについての解説を紹介した。こちらは、SLSA v1.0の概要説明とデモンストレーションがあった講演だ。Build Level1から3の説明から始まり、今後の展望まで語られた。

SLSA v1.0の概要としては、「SLSAはサプライチェーンセキュリティのフレームワークであること、SLSAではマルウエアを防止できず、包括的なルールではないということ」が説明された。

Build Level1から3の詳細、SLSA v1.0のデモンストレーションについても、当日のMeetupで解説されているので動画から確認してほしい。

セッションの最後はSLSAの今後の展望で、SLSAはBuild Trackしかカバーできていないので、新しいトラックの開発を進めること、SLSA Build Level4についても検討していくこと、などが挙げられた。

当日の講演スライドおよび動画はすでに公開されているので、詳細については下記を参照にしてほしい。

講演スライドはこちら  https://speakerdeck.com/lfj/openssf-day-and-oss-na-sbom-slsa

動画はこちら https://youtu.be/ThNK6Fqs-nM

参考:第2回 Open Source Security Foundation (OpenSSF)  Meetup その1(プロジェクトの概況報告と米国政府関係者による対談サマリー)

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