AIがサイバーセキュリティ人材に与える影響に関する調査結果を発表
約9割が数年以内にAIが自身の仕事に大きな影響を及ぼすと回答
世界有数のサイバーセキュリティ専門家資格の非営利の会員制組織であるISC2は、AIがサイバーセキュリティ人材に与える影響について追及した調査「AI in Cyber 2024: Is the Cybersecurity Profession Ready?」を公開した。本調査は、世界のサイバーセキュリティ業務に関わるISC2会員を対象に実施され、1,100人以上から回答を得ているとしている。
本調査によると、回答者の88%が、「今後数年以内に、AIが自らの仕事に大きな影響を及ぼす」と回答しており、そのうち35%が「すでにAIの影響を目の当たりにしている」と回答したことが明らかになったようだ。サイバー攻撃への対策におけるAIの活用については、一般的に肯定的な意見が多い一方で、本調査結果は、サイバーリスクを軽減し業界のエコシステム全体を保護するために、備えを求める専門家らの緊急の需要も浮き彫りにしている。
■主な調査結果
本調査結果から、サイバーセキュリティ専門家たちは、現在まだAI技術の影響について評価している段階であることがわかった。
- 82%が、「AIが業務効率を向上させる」と回答し、AIに対し前向きな見方を示した
- 56%が、「今後一部の業務がAIに取って代わられ、より価値の高い仕事に時間を割けるようになる」と回答している
- 75%が、AIがサイバー攻撃や悪意ある活動に利用されることについて「やや懸念がある」~「非常に懸念している」と回答した
- AI技術によって台頭することを懸念している脅威の上位3つには、「ディープフェイク(76%)」、「偽情報・誤情報キャンペーン(70%)」、「ソーシャルエンジニアリング(64%)」が挙がった
AIの専門知識とAIを活用した脅威の可能性に対処するための準備状況の間には、ますます格差が広がっている。
- 60%が、「自組織におけるAIの導入を、自信を持って実施できる能力がある」と回答
- 41%が、AIや機械学習(ML)に関する専門知識が「ほとんどない」もしくは「まったくない」と回答
- 82%が、「AIの安全かつ倫理的な使用を規定する、包括的かつ具体的な規制の必要性を感じている」と回答
このような懸念を抱えている回答者がいるのにもかかわらず、「自組織がAIの安全かつ倫理的な使用に関する公式な方針を策定している」と回答したのは、わずか27%にとどまり、39%は「現在、自組織で公式な方針について議論の最中」と回答している。「誰がAIの安全かつ倫理的な使用を規制すべきか」という質問に対して、大半のサイバー専門家は、各国政府とAI専門家のコンソーシアムによる世界的な協調を望んでいることが明らかになった。
■安全なAI導入に向けたコラボレーション
ISC2のCEOであるクレア・ロッソは、以下のように述べている。
「サイバーセキュリティの専門家たちは、AIがチャンスと課題の両方をもたらすと予測しており、AIを業務に安全に導入するための専門知識や認識が組織に不足していることを懸念しています。このような状況は、サイバーセキュリティの専門家たちが、安全なテクノロジーに関する専門知識を応用し、AIの安全かつ倫理的な使用を保証することで、AI導入の取り組みを主導する絶好の機会を生み出します。実際、ISC2は、この課題に対処するためにサイバーセキュリティ人材が必要とする専門家主導のコラボレーションの促進を目的として、AIワークショップを開発しました」
ISC2のAIワークショップでは、サイバーセキュリティ業界のリーダーを対象に、実践的なリスク管理の視点から、AIの利用とAIによるデータ利用の双方を保護する方法について、詳細かつ実践的な考察を行いる。また、参加者は、新たなAI規制や検討中のAI規制の影響、そしてそれらを安全なAI導入戦略にどのように組み込む必要があるかを探る。第1回となるワークショップは、米バージニア州アレクサンドリアで開催され、3月12~13日は運用セッション、3月14~15日に戦略セッションが行われた。ワークショップへの参加登録は受付中で、今後も米国、英国、欧州、アジア太平洋地域、アラブ首長国連邦での開催を予定しているようだ。
ISC2のAIワークショップの詳細は、ウェブサイト(英語)から
https://web.cvent.com/event/aba387a9-0b1e-4383-8292-a835869219d7/summary
「AI in Cyber 2024: Is Cybersecurity Profession Ready Study」の調査全文は、こちら
https://www.isc2.org/Insights/2024/02/The-Real-World-Impact-of-AI-on-Cybersecurity-Professionals
【調査方法】
調査名称:「AI in Cyber 2024: Is Cybersecurity Profession Ready Study」
調査期間:2023年11月~12月
調査対象:世界のサイバーセキュリティ業務に関わるISC2の会員1,123名
調査方法:オンライン調査
出典:PRTimes ISC2、AIがサイバーセキュリティ人材に与える影響に関する調査結果を発表:約9割が数年以内にAIが自身の仕事に大きな影響を及ぼすと回答