日本人のサイバーセキュリティ知識は世界最下位
世界のオンラインプライバシーとサイバーセキュリティに対する意識は悪化の一途をたどっているという調査結果
- 昨年と比べ、日本は世界ランキングで9位から12位に後退した。韓国と並び世界最下位。
- 日本人はAIを仕事に使用する際のプライバシー問題について無知である。
- 2023年と比較すると、FacebookがFacebookを利用していない人のデータも収集できることを理解している日本人の数は減った。
サイバーセキュリティ企業NordVPNの新たな調査[https://nordvpn.com/ja/blog/national-privacy-test-japan-2024/] によると、サイバーセキュリティとインターネットプライバシーに関する知識の点で、日本は世界第12位であり、これは韓国と並び世界最下位となっている。日本人は強力なパスワードの作成方法に優れており(92%)や、アプリの許可を介してアプリとどのようなデータを共有すべきか知っています(91%)が、仕事でAIを使用する際のプライバシー問題の認識には苦戦している(5%)。
毎年実施しているナショナル・プライバシー・テスト(NPT)は、サイバーセキュリティやオンラインプライバシーに対する人々の意識を評価し、デジタル時代におけるサイバーの脅威やデータ・情報セキュリティの重要性について、一般の人々に啓蒙することを目的とした世界的な調査。今年は181か国から25,567件の回答が集まった。
「デジタルの脅威の状況がかつてないほどの速さで進化している中、インターネットユーザーが個人情報保護の重要性を理解することは大切なことです。ナショナル・プライバシー・テストは、サイバーの脅威について世界の人々を啓蒙し、詐欺、データ搾取、監視、その他のオンライン上の危険要素から身を守る不可欠なヒントを提供する責任を負っています」と、NordVPN[https://nordvpn.com/ja/] の最高技術責任者であるマリユス・ブリエディス氏は述べている。
インターネットのプライバシーとサイバーセキュリティに対する意識において、世界トップ3にランクインした国は以下の通り。
- シンガポール(62/100)
- フィンランド、リトアニア(61/100)
- ドイツ、アメリカ(60/100)
しかし、今年の結果では、世界のオンラインプライバシーおよびサイバーセキュリティ意識が過去数年にわたり低下し続けていることが示された。
「技術の進歩に圧倒され、ついていくことが困難なひともいるかもしれない。利便性重視のオンラインアプリは、私たちの日常生活に浸透し、しばしばプライバシーよりも使いやすさを優先することで、人々は知らず知らずのうちに自身をリスクにさらしています。世界のインターネットプライバシー意識の低下は憂慮すべきところですが、この傾向は、オンライン上の個人情報保護に関するさらなる教育の必要性が高まっていることを裏付けています」と、ブリエディス氏は言う。
強力なパスワード作成は得意だがAI関連のプライバシー問題に弱い日本人
日本人は、強力なパスワードの作成方法(92%)や、アプリの許可を通じてアプリと共有するデータ(91%)を分かっていることが、今回のテスト結果で示された。SNS上での共有を避けるべき機密データ(87%)や、デバイスがどのようにマルウェアに感染するか(82%)ということも理解している。
しかし、AIを仕事で利用する際に考慮すべきプライバシー問題を知っている日本人はわずか5%で、インターネットサービスプロバイダ(ISP)がメタデータの一部としてどのようなデータを収集するか知っているのは9%にとどまった。さらに、ほとんどの日本人(14%)は自宅のWi-Fiネットワークの保護方法を知らず、デフォルトで安全だと考えているようである。最後に、パスワードマネージャのようなツールなど、パスワードを安全に保管する場所を知っている日本人は5人に1人しかいない。
日本人の6%はサイバーワンダラー(インターネットのプライバシーやサイバーセキュリティについてほとんど知らない)で、一方、最も多かったのは50~74ポイントを獲得した人の割合(51%)で、かなり知識はあるがまだ改善の余地のあるサイバーアドベンチャーと認められた。日本では今年、知識豊富なサイバースターの数が4%減少した。
日本の結果における昨年からの主要な変化
2023年と比較して、FacebookがFacebookを利用していない人のデータまで収集できる能力があることを理解している日本人は減少した。2023年は54%が「知っている」と答えたが、今年は42%。また、SNSでの共有を避けるべき機密データに関する知識も6%減少した。しかし、サービスプロバイダが侵害されアカウント情報が流出した場合にはどうすべきか認識している人は増加した(2023年の33%に対して、2024年は43%)。フィッシングサイトの見分け方に関する知識も5%増加している。
日本の参加者は、シンガポール同様、アップデートが提供されたらすぐにアプリを更新することのセキュリティ上の利点や、アプリやオンラインサービスの利用規約を読むことの重要性を、すべての国の中で最も理解している。しかし、ハッカーが身代金を要求してきた場合の対処法やフィッシング攻撃への対処法についての知識に疎く、さらに、日本人は、銀行から予期せぬお金の引き出しに関するメールを受け取ったり、AI技術を利用した一般的な詐欺を見抜くことにおいて、世界平均よりも遅れている。
インターネットのプライバシー意識が国際的に最も高い年齢層は30~54歳
NPTの世界スコアは今年58%を記録し、2023年(61%)、2022年(64%)と比較して、世界のオンラインプライバシーとサイバーセキュリティに対する意識が低下していることを示している。
世界の重要なポイント:
- サイバーセキュリティスキルが最も高いのは 30~54歳で、もっともサイバースタータイプが多いのはこの年齢層。
- IT部門とともに、金融業界の回答者は、他より若干高いNPTスコアを獲得した。
- 「プライバシー意識」と「デジタルリスク許容度」カテゴリーは、AIに関する2つの新たな質問のせいで、2023年よりスコアが下がっており、正しく回答できた人は5%のみ。
「昨今、人々は長期的なセキュリティより目先の利益を重視するようになっていて、この変化がプライバシー意識の低下を招いているのかもしれません。その上、膨大な量のコンテンツの中を移動するうち、重要なセキュリティ警告やプライバシーに関するヒントはしばしば騒音に紛れ消えてしまいます」と、ブリエディス氏は述べている。
オンラインセキュリティとプライバシーを高めるためのステップ
NordVPNのマリユス・ブリエディス氏がオンラインプライバシーとセキュリティを強化するために取るべき一連の手順をご紹介している。
- ユニークで強力なパスワードを作る。オンラインアカウントごとに、ユニークで強力なパスワードを使用しましょう。さらに、パスワードマネージャを利用し、可能であればアカウントにパスキーログインを設定しましょう。
- 多要素認証(MFA)を有効にする。多要素認証を有効にして、アカウントのセキュリティを強化しましょう。追加確認が求められることで、保護がより強力になります。
- ソフトウェアを常に最新の状態に保つ。ソフトウェア、OS、アプリを定期的に更新することで、脆弱性が修正され、セキュリティパッチが確実に適用されます。
- 仮想プライベートネットワーク(VPN)を使う。常にVPNを使用して、インターネット接続を暗号化し、潜在的な覗き見から個人情報を保護しましょう。
- プライバシー設定を見直す。SNS、モバイルアプリ、その他のオンラインサービスのプライバシー設定を定期的に見直し調整しましょう。
- サイバーセキュリティについての知識を深める。継続的な学習により、オンラインプレゼンスを保護するための十分な情報に基づいた意思決定ができるようになります。
調査方法:ナショナル・プライバシー・テストは、誰でも参加でき、自身と世界の結果を比較できるオープンアクセス調査。2024年は、181か国から25,567人の回答者が参加し、オンラインプライバシーのスキルと知識を評価する23の質問に回答した。2024年のデータは2024年7月17日現在分析され、当レポートに掲載されています。ウェブページの結果との差異がある場合、7月17日以降にテストを受けた参加者により結果が若干変わっている。さらに、2023年の分析は2023年の全データを考慮に入れている。昨年の報告は2023年7月19日までの暫定的な結果のみを分析した。
出典:PRTimes 日本人のサイバーセキュリティ知識は世界最下位