【JNSA】 2021セキュリティ10大ニュース
JNSA セキュリティ十大ニュース選考委員会は2021年のセキュリティ10大ニュースを発表した。
2021年は、『サイバーセキュリティが世界の行く末を左右する時代が始まった』とした。
10大ニュースおよび解説は以下の通り。
「世界中がコロナウイルスに翻弄された1年、ワクチン接種のニュースに一喜一憂しやっと終息するかと思えば新たな変異株の出現でまたもや先行きが不透明になっている。意見の分かれた東京オリンピック・パラリンピックの開催も大過なく終了し、選手の活躍に癒された。しかしサイバー空間には異なる世界が広がりつつあるのかもしれない。
過去5年間のセキュリティ十大ニュースを紐解くと、毎年約半分がセキュリティ事件事故のニュースで、残りの半分はセキュリティにかかわる制度の発足や世相などのニュースが占めていた。しかし、今年は後者のニュースはトップテンには入っていない。すべてのニュースが事件事故に関わるものであり、その中でもサイバー空間の攻防に関するニュースが半分、あとの半分はITや情報の管理の不備にかかわるニュースとなっているのが大きな特徴だ。
サイバー攻撃が計画的、組織的に展開され、防御も的確に行えば効果が上がることが鮮明になってきた、と同時にITや情報管理の不備があると際立って目に付くというのが2021年の特徴であろう。
EMOTETのテイクダウンは警察機構の取り組みであるが、トップニュースであるランサムの被害に対して、米サイバー軍のトップがランサム攻撃グループに対して攻勢をかけていると明らかにしたことも特筆しておかなければならない。サイバー戦争の危機感は現実のものである。
今やサイバー空間は安全保障の最前線とも認識すべきであり、その同じ空間で多くの経済活動が行われており、企業の成長の糧がその空間を通してもたらされるという現実もまた受け止めなければならない。民間部門においても、サイバーセキュリティやITと情報の管理に不備のないよう、怠りなく対策を進化させていかなければならない。企業の経営者やデジタル化の責任者にはこのことを強く認識していただきたい。
物理的な世界では軍隊と民間の活動は明確に区別が可能であるが、サイバー空間における活動では両者を見分けるのがむつかしい。このことが、サイバー空間での軍事作戦の展開を容易に決断できる要因になっているに違いない。
最後の大戦から七十数年、この間の比較的平和な時代が大きな恩恵をもたらしてきたが、このところ紛争や対立が次第に深刻化しており、先行きが不透明になってきている。アフガニスタン、シリア、ミャンマーなど渦中にある地域に加えて、台湾海峡やウクライナなど軍事衝突をも予感させるような情勢となりつつある。このような緊張状態においては、サイバー空間における軍事目的の活動が活発化することは目に見えている。
2021年は、サイバーセキュリティが世界の行く末、我々の行く末を左右する分岐の先端に影響を与えるようになったと明確に認識した年として記憶されることになるかもしれない」。
第1位 | 5月7日 ランサムウェアの被害広範囲に、影響は一般市民にも ~ ランサムウェア攻撃の脅威を思い知らされた1年 ~ |
第2位 | 3月17日 LINEデータ管理の不備が指摘される ~ にわかに盛り上がる経済安全保障の論議 ~ |
第3位 | 1月27日 EMOTETテイクダウンの朗報、しかし再燃の動きも ~ 国際間協力により完全破壊するも11月には復活 ~ |
第4位 | 5月26日 ProjectWEBへの不正アクセスで官公庁等の情報が流出 ~ 今後のITサプライチェーンの課題は? ~ |
第5位 | 11月26日 みずほ銀行のシステム障害多発に金融庁が業務改善命令 ~ 日本企業の経営層に求められるITに対する理解 ~ |
第6位 | 1月29日 Salesforce設定ミスによる情報流出にNISCが注意喚起 ~ クラウド・バイ・デフォルト時代における新たな責任の自覚 ~ |
第7位 | 10月21日 NTTと東京オリパラ大会組織委員会、サイバーセキュリティ対策を報告 ~ 懸念されたサイバー攻撃を防御し、東京オリパラは無事終了 ~ |
第8位 | 1月12日 ソフトバンク元社員を不正競争防止法違反で逮捕 ~ 社員による会社情報持ち出しの抑止力となるか? ~ |
第9位 | 7月28日 「戦争の原因になり得る」とサイバー攻撃に強い危機感 ~ 対岸は存在しないサイバー空間の攻防 ~ |
第10位 | 9月28日 VPN狙い撃ちの被害続く中、米政府堅牢化のガイダンスを公開 ~ 攻撃は境界型防衛への最後通告か ~ |
詳細はJNSA(特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会)の発表をご覧ください。
https://www.jnsa.org/active/news10/index.html