SDV開発、規制遵守に「強い自信」16%――日本の最大課題は開発サイクル
BlackBerryの事業部門QNXは、ソフトウェア定義車両(SDV)に関するグローバル調査「Under the Hood: The SDV Developer Report」を公表した。対象は日本を含む北米・欧州・アジアの自動車ソフトウェア開発者1,100名(日本100名)である。日本では「開発サイクルの長さ」46%が最大課題となり、規制遵守に「非常に自信がある」は16%にとどまる結果である。
日本の主な指標——工程の複雑性と長期化
最も大きい課題は「開発サイクルの長さ」(46%)で、世界平均37%を上回る。併せて、「統合の複雑さ」 (36%)、「車両・プラットフォーム間のスケーラビリティ欠如」(36%)、「デバッグ・テスト」(33%)、「ツールチェーン断片化」(33%)が並び、工程全体でボトルネックが多層的に存在しており、これらの数値は、「開発サイクル」(46%)を筆頭に、「統合の複雑さ」(36%)、「スケーラビリティ欠如」(36%)、「デバッグ・テスト」(33%)、「ツールチェーン断片化」(33%)など課題があげられている。

規制と「自信」のギャップ
規制遵守に「非常に自信がある」は16%で、世界平均の39%より低い。あわせて、「規制がイノベーションのペースに追いつく」との見方は67%で、世界平均85%である。
規制分野の難しさとしては、「サイバーセキュリティ」(49%)、「機能安全」(42%)、「AI / 機械学習」(38%)が上位に挙げられている。
開発環境の生産性と組織基盤
現在の開発環境の生産性について「非常に良い」と答えた日本の開発者は14%で、世界平均30%を下回る。加えて、業界横断連携の重要性は83%(世界平均93%)と高い一方、自社が協働的開発を支援に「強く同意」は33%(世界平均50%)にとどまる。オープンソースソフトウェアの役割の価値は82%(世界平均92%)で、価値認識は広いが、支援体制の強度には差が残るという構図である。

今後5年の重要スキル——日本の優先はAI/ML・安全・セキュリティ
日本の回答では、「AI / 機械学習の統合」(59%)、「機能安全」(57%)、「サイバーセキュリティ」(53%)が「今後5年で最も重要となるスキル」として挙がる。完全自動運転については「現在は過度に注目されすぎ」(71%)と慎重な見方がある一方で、「2030年までにSDVの形を最も左右」(53%)という回答も示され、検討対象としての重みは維持されている。

グローバル動向の要点——開発アプローチとAIの位置づけ
世界全体では、58%が「最近のソフトウェアリコールで開発アプローチが大きく変わった」と回答し、80%が「自動車メーカーはソフトウェアインフラよりもアプリケーション層のイノベーションにより重点」とする。91%は「AIが近い将来の開発で重要」と見ており、2035年までに現在の職種の35%がAIに置き換わる可能性が示されている。こうした潮流は、日本の開発サイクル・規制対応・生産性の各指標と併せて、次期の投資配分や基盤選定を考えるための参照点となる。
公式コメント
QNX ジャパン シニアカントリーセールスマネージャー 松岡秀樹氏は、日本市場の安全性・規制への高い意識が開発課題や生産性評価に影響し得る点に言及し、国際的な規制・安全認証を取得済みのソフトウェア基盤の活用による効率化を述べている。QNXは主要OEM / Tier1からソフトウェア主導の未来の基盤として信頼されているとする。
調査概要
実施主体:QNX委託、OnePollがMarket Research Society行動規範に従いオンライン実施
期間:2025年7月25日〜8月5日
対象:組み込み自動車ソフトウェア開発者
人数:1,100名(日本100名)
方法補足:ダブルオプトインで参加、OnePollが監督・編集。
出典:PRTimes QNX調査:日本のSDV開発者、「規制遵守に強い自信」16% 最大課題は「開発サイクルの長さ」46%
