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日本だけ取り残される VPN後進国

NordVPNは、日本を含む23カ国を対象としたVPNの認知率・利用率に関する国際調査結果を公表した。サイバー攻撃被害が過去最多を更新し続ける状況にもかかわらず、日本のVPN認知率と利用率はいずれも23カ国で最下位となり、「VPN後進国」として取り残されつつある実態が明らかになった。本リリースでは、無料VPNの“隠れたリスク”にも注意喚起している。

サイバー攻撃が急増する日本の個人セキュリティ状況

日本におけるサイバー攻撃の深刻な現状を示している。警察庁が2025年9月に公開した最新調査によれば、2025年上半期のフィッシング報告件数は119万6,314件に達し、前年同期比約89%増となった。不正送金被害も拡大しており、インターネットバンキングの不正送金被害総額は約42億円に上る。

さらに2025年3月〜5月には証券口座への不正アクセスが急増し、不正売買金額は約5,780億円、証券会社をかたるフィッシングメールの報告件数は17万8,032件に達したとされる。個人を標的にしたサイバー犯罪の巧妙化と多様化が進んでいると位置付けている。

このような状況の中で、通信内容を暗号化しIPアドレスを保護するVPNは、個人情報を守る有効な手段の一つであると説明されている。VPNを利用することで、パスワードや金融データを盗み見られるリスクを下げ、不正アクセスや追跡型広告などからオンライン活動を保護できると整理している。

日本だけ認知率31%・利用率13%という最低水準

今回の国際調査では、日本のVPN認知率が31%と、調査対象23カ国で最も低い水準であることが明らかになった。次に低いベルギーとポーランドはいずれも64%であり、日本との差は33ポイントと大きい。認知率が30%台だった国は日本のみであり、国際的にも大きく遅れを取っている状況が浮き彫りになっている。

しかも、日本の認知率は2021年の26%から2025年の31%へと5ポイント増加したにとどまり、同期間に10ポイント前後伸びている国が多いなかで、増加幅は23カ国中で最も小さいという結果である。

アジア各国との比較でも差は顕著である。香港91%、シンガポール86%、台湾76%、韓国65%と、アジア地域の多くが60〜90%台の高い認知率を示す一方、日本のみが31%にとどまっている。

利用率も同様であり、香港54%、台湾38%、シンガポール46%に対し、日本は13%と、アジア主要国のなかで最も低い結果となった。認知・利用の双方で他国との差が広がっている構図である。

加えて、現在VPNプランを利用していない日本の回答者のうち、「今後1年以内にVPNを使い始める」と回答した割合はわずか3%であった。サイバー攻撃被害が急増する中でも、オンラインプライバシーやVPNに対する意識が依然として低いことが示唆されている。

無料VPNに潜む“隠れたコスト”

日本のユーザーのなかには無料VPNを利用しているケースがあることにも言及し、そのリスクに注意を促している。無料VPNは費用がかからず手軽に利用できる一方で、ユーザーが気づかない形でプライバシーやセキュリティに影響を及ぼす「隠れたリスク」が存在し得ると指摘する。

具体的なリスクとして、まず「個人データの収集・第三者への提供」が挙げられている。一部の無料VPNでは、利用者の閲覧履歴や通信データを収集し、広告会社や外部企業に提供するケースがあり、「“無料”の代わりにユーザーのデータが対価として扱われる」可能性があると説明している。

次に、「通信の暗号化が不十分」である点を問題視している。古い暗号化技術や脆弱なサーバーを使用するサービスも多く、送受信される情報が十分に保護されない場合がある。その結果、パスワードや個人情報が漏えいするおそれがあると述べている。

さらに、「マルウェアが仕込まれている場合もある」として、一部の無料VPNアプリでは悪意あるコードや追跡プログラムが組み込まれていた事例が報告されていることに触れる。こうしたアプリは、デバイスの安全性や個人情報に深刻な影響を与えかねないと警鐘を鳴らしている。

無料VPNの“隠れたリスク”とデジタルプライバシー

NordVPN最高技術責任者(CTO)マリユス・ブリエディス氏は、デジタルプライバシーの現状と無料VPNのリスクについて下記のようにコメントしている。
「デジタルプライバシーの状況は、ここ数年で大きく変化しています。無料VPNの多くには、ユーザーの個人データを保護するどころか危険にさらす“隠れたリスク”が存在することに、多くの人々がようやく気づき始めています。現在のオンライン環境では、個人情報は非常に価値の高いものであり、その情報で利益を得ようとするサービスにプライバシーを預けるべきではありません。」

同氏は、無料VPNの表面的な「無料」という利便性の裏側にあるリスクに目を向ける必要があること、価値の高い個人情報をどのようなサービスに預けるのかを慎重に判断すべきであることを強調している。

出典:PRTimes 日本だけ取り残される「VPN後進国」、認知率・利用率とも23カ国で最低の結果に

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