生成AI導入の実用性と“導入の壁”を調査
株式会社イデックスビジネスサービスは、生成AIの導入を検討中、またはすでに導入している中小企業の情報システム・総務担当者1,047人を対象に、「生成AI導入の壁」に関する調査を実施した。この調査から、中小企業における生成AIの導入に対する期待と不安、そして導入後の実態が明らかになった 。
導入前の不安と期待:人材とセキュリティが大きな課題に
生成AI導入を検討している担当者が、導入・運用に際して不安に感じていることとして、最も多かったのは「導入を担う人材の不足」(50.6%)であった 。次いで、「社内体制や役割分担の不十分さ」(42.0%)、「活用ルールやガイドラインの未整備」(41.6%)が続いた 。これらの結果から、専門知識やスキルを持つ人材の不足、そして円滑な運用に向けた社内体制の整備が遅れている現状が示されている 。
一方で、生成AI導入に期待する効果として上位に挙がったのは、「人的コストの削減」(57.2%)、「業務の効率化」(50.8%)、「業務品質の向上」(42.6%)であった 。定型作業の自動化によるコスト削減や効率化、そして高精度なアウトプットによる業務品質の向上といった、生産性向上に直結する効果が期待されていることがうかがえる 。

また、生成AI導入に踏み切れない最大の理由として「セキュリティ面の不安」(46.6%)が挙げられた 。これに「コストがかかる」(35.7%)、「社内での活用イメージがわからない」(32.7%)が続いている 。機密情報や個人情報漏洩のリスク、初期投資や運用費用への懸念、そして具体的な活用方法が見えないことが、導入の障壁となっている現状が明らかになった 。
導入後の実態:想像以上に簡単に使え、業務効率を改善
すでに生成AIを導入している中小企業の担当者に対し、導入後の業務効率の改善度合いを尋ねたところ、「大きく改善された」(19.3%)と「ある程度改善された」(63.5%)を合わせて約8割が改善を実感していることがわかった 。
特に「導入してよかった」と実感した場面として、上位に挙がったのは以下の業務である 。
- 情報整理(議事録、FAQ、マニュアルなど):52.8%
- 文書作成(メール、報告書、提案書など):48.8%
- コンテンツ作成(SNS投稿、社内報、求人原稿など):36.5%
これらの結果は、生成AIが定型的かつ反復的な業務において特に効果を発揮し、作業負担の軽減や業務効率・品質の向上に貢献していることを示している 。
さらに、「生成AIを導入してどう感じているか」という問いに対しては、「想像よりも簡単に使えた」(41.8%)、「導入前に懸念していたことは実際には起こらなかった」(22.6%)、「もっと早く導入すればよかった」(19.6%)という肯定的な意見が8割以上を占めた 。これは、導入前の不安や懸念が、実際の運用を通じて払拭されるケースが多いことを示している 。

導入前の不安払拭が普及のカギに
今回の調査結果は、中小企業における生成AIの導入には、人材不足やセキュリティへの不安、コスト面での懸念といった「壁」が存在する一方で、実際に導入した企業では高い効果が実感されているというギャップを浮き彫りにしている 。
こうしたギャップを埋めるためには、「導入企業の成功事例の共有」(44.0%)や「業種・業務別の活用テンプレート」(41.4%)、そして「セキュリティ対策済みの導入パッケージ」(36.3%)といった支援が求められている 。具体的な活用イメージや効果、そして安心して利用できる環境を提供することが、中小企業への生成AI普及を加速させる鍵となるであろう 。
出典:【生成AI導入で業務効率は本当に上がる?】生成AIが役立つ業務ランキング 1位「情報整理」2位「文書作成」3位「コンテンツ作成」