日本企業でAI導入率、グローバルの2.5倍
オープンテキスト調査、導入は先行もROIや情報資産管理に課題
オープンテキスト株式会社(以下、オープンテキスト)は2月26日、調査レポート「The Challenges to Ensuring Information Is Secure, Compliant and Ready for AI(情報のセキュリティ、コンプライアンス、AI対応の確保における課題)」の日本版結果を発表した。調査からは、日本企業におけるAI導入がグローバル平均を大きく上回る一方で、投資対効果(ROI)の評価体制や情報資産管理の整備に課題が残っている実態が明らかとなった。
生成AI導入率は80%、グローバルの2倍超
調査によると、日本企業の生成AI導入率は80%に達し、今後6カ月以内の導入予定(4%)を含めると、ほぼ全体に普及しつつある状況だ。これに対し、グローバル平均は導入済み32%、導入予定26%にとどまっている。
また、エージェント型AIの導入率も日本は57%で、グローバル平均:19%を大きく上回った。生成AIの効果を実感している割合も83%と高く、グローバル平均:45%との差が際立つ。
主なユースケースとしては、ソフトウェア開発(46%)、ログ分析や問い合わせ対応など定型IT業務の自動化(36%)、ビジネスレポートの要約・生成(36%)などが挙げられた。RPA導入が進んできた日本企業において、非定型業務の自動化を生成AIで補完しようとする動きが加速しているとみられる。
ROI評価と人材不足がボトルネックに
一方で、AI活用の持続的な拡大に向けた基盤整備は十分とは言えない。
AIを活用したセキュリティ技術導入の最大の課題として、日本企業では「AI人材不足」(45%)が最多となった。グローバルでは「予算不足」(31%)が最も多く、課題認識に違いが見られる。
また、情報資産管理のROIに「非常に自信がある」と回答した日本企業は33%(グローバル平均:43%)、AI導入のROIを実証できると確信している割合は35%(グローバル平均:54%)にとどまった。導入は進むものの、効果測定や投資判断を裏付ける仕組みが十分に確立されていない実態が浮き彫りとなった。
オープンテキスト 代表取締役社長の三浦氏は、「AIの価値を最大化するには、データを安全かつ一貫性をもって扱える環境整備と、AI投資の効果を適切に評価できる仕組みの構築が不可欠だ」とコメントしている。
クラウドアクセスの複雑化がリスク要因に
セキュリティ面では、回答者の92%が「強固なセキュリティ体制の構築には複雑さの軽減が重要」と回答(グローバル平均:73%)。ITセキュリティアーキテクチャの複雑化要因として、日本では「クラウドベースのアプリケーションやデータへのアクセス」(45%)が最多となった。
グローバルでは「非構造化データの急増」(44%)が最大要因であり、日本ではクラウド活用の進展に伴うアクセス管理や統制の難しさがより強く意識されていることが伺える。
啓発は進むも、実装面で遅れ
AIに関するセキュリティ対策では、日本企業の37%が「AIのセキュリティ上の影響に関するユーザー向け研修・意識向上」を実施している。一方、「データセキュリティプログラムと実践方法の開発」を実施している割合は28%にとどまり、グローバル平均:46%を下回った。
教育・啓発は進みつつあるが、制度設計や実装面での取り組みは道半ばと言える。
AI活用を加速させる3つのポイント
調査では、AI導入に成功している組織のベストプラクティスとして、以下の3点を挙げている。
- 非構造化データ対応の高度化:文書やメールなどの非構造化データを重要資産として管理・活用基盤を整備する。
- 業務プロセス全体の見直しとAI活用の統合:効果が可視化しやすい領域から導入し、横展開を図る。
- コンプライアンスおよびガバナンスの確立:AI活用ルールやデータ利用方針を早期に整備する。
調査概要
本調査は、2025年8月に実施されたグローバル調査(日本を除く6カ国・地域)および2025年12月に実施された日本独自調査に基づく。対象はITおよびセキュリティ担当の上級リーダー計2,200名。
なお、日本サンプルは大企業(従業員1,000人以上)の比率が60%(グローバル:53%)、ソフトウェア関連企業の比率が50%(グローバル平均:10%)と高く、企業規模や業種構成がAI導入率に影響している可能性があるとしている。
AI導入で世界をリードする日本企業だが、ROI評価と情報ガバナンスの確立が、次の成長フェーズへの鍵を握りそうだ。