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暗号を理解するための数学の世界その11 CS四方山話(第32話)

「小学校からの数学」シリーズ・第11弾です。今回から小学4年生の課程となります。「小学生シリーズ」は第11弾から後半戦に突入したということになります。

まずは二次元の図形の話から

小学4年生では、図形に関わる内容が多く登場します。列挙すると..

 ・ 角度と分度器。角度の測り方、角度の計算、特定の角度の角を書くなどです。
 ・ 角度から展開しての三角定規。代表的な角度、90度、60度、45度、30度が登場します。

また、垂直・平行という概念も登場します。

 ・ 三角形の次は四角形。垂直・平行と合わせて「さまざまな四角形」を学びます

いろいろな三角形や四角形が存在しますが、小学4年生としては単純にそのバリエーションを把握する(楽しむ?)というところでも良いでしょう。もう一歩踏み込んで「数学的に」考えてみましょう、さまざまな三角形や四角形は、その角度や辺の長さに関しての制約条件(拘束条件)によって特徴付けられると考えることができます。

まずは、二次元の図形の中で最も単純な「三角形」を考えてみましょう。特に指定が無ければ「ただの三角形」です。これに以下のように、ひとつ制約条件を追加してみましょう。

「3辺の内、2つの辺の長さが同じ」という条件を追加すると「二等辺三角形」になります。さらに、もう1つ条件を加えてみましょう。「1つの内角が90度である」という条件を加えると「二等辺直角三角形」になります。
 
「3辺の長さが同じ」という条件を付けると「正三角形」になります。
これらの関係を図で表すと次のようになります。

同じように「四角形」を考えてみましょう。こちらも「ただの四角形」から始めます。
 
条件としては、次のようなものがあります。
 「4辺の内、2辺が平行である」「対角の2辺の組が、それぞれ平行である」
 「対角の2辺の1組が同じ長さである」 「全ての辺が同じ長さである」
 「1つの内角が直角である」「全ての内角が直角である」
 これらの関係を図で表すと次のようになります。

二次元の図形から面積の話へ

ある意味自然な流れと言えますが、二次元の図形に続いて「面積」が登場します。小学4年生では、正方形を含む長方形の面積のみを扱うようです。方眼紙のように、正方形のマス目に合わせて、そのマス目の数で面積を表現するという手順を踏みます。

小学4年生で扱いやすい単位ということで、1cm × 1cm の正方形を考えます。この面積は 1㎠(1平方センチメートル)で、面積の単位元のようなモノということになります(数学的ですね?)。

ちなみに、平面を充填可能なシンプルな図形としては、正方形以外に正六角形もあります。ただ、1㎠ の正六角形の対角線の長さは 約1.24cm と中途半端な数字になってしまいますし、長方形を上手く充填できません。やはり、我々(人間)にとっては、正方形を面積の基本単位とした方が良さそうです。膜翅目(昆虫綱ハチ目)の皆さん(蜂)であれば違う世界観があるのかも知れませんが……。

3次元の入口として立方体と直方体も

小学4年生では「立体図形」も登場します(まだ、体積までは出て来ませんが)。ここで登場する図形は、立方体と直方体です。他の図形は出てきません。平面図形の正方形と同じように、立方体は体積の単位元のようなモノですから、やはり「基本」ということなのでしょう。長方形が正方形の集合で表せるのと同じように、直方体は立方体の集合で表現できるので、これも早めに登場させやすいということになるのでしょう。 また、立方体・直方体に関して、見取図と展開図という新しい概念も登場します。なかなか盛り沢山ですね。小学校では「見取図」と読んでいますが、この見取図は、一般には(機械屋だけ?)「アイソメ図」と呼ばれます。これはアイソメトリック(isometric)図の略です。「isometric」は、ギリシャ語が語源の単語で、数学や工学で使う単語です。ギリシャ語の「isos」は「等しい」で、「metron」は「測る」で、「等尺」「等角」という意味です。見取図(アイソメ図)では、平行な線分を等角で描写するので、この名称で呼ばれています。

まとめ

前回(第31話)の予告通り、四角形、直方体といった図形の話を一通りお話ししました。これらの基本的な図形は「幾何学」への入口になりますし、面積や体積を測る基本になるということで、小学4年生で登場するのでしょう。

次回(第32話)では、小学4年生で登場する図形以外の話題に触れたいと思います。


四方山話

この原稿は、主には2023年の12月に書き綴っていましたが、チンタラしていた……否、業務繁忙だったため、入稿が本日(2024年1月3日)になってしまいました。いやいや、今回は「図形」がテーマということで、図を書くのに時間を要してしまいました(数式に関しては、Webコンテンツ化する上で、編集さん、校正さんにお手間を取らせてしまっています)。

一昨日(元旦)、昨日(2日)と大事件が起きてしまいました。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。また、亡くなられた方のご冥福をお祈りします。元旦の地震がなければ2日の事件も起きませんでした。「神様」が存在するとの仮定ですが、特に日本の神様には、正月の三箇日は皆が平和に過ごせるようにご配慮頂けたらと願うばかりです。今日=3日は何も起こりませんように。


CS四方山話の過去の記事はこちら(合わせてお読みください)

中村 健 (Ken Nakamura)
株式会社SYNCHRO 取締役 CTO
機械屋だったはずだが、いつの間にかソフト屋になっていた。
以前は計測制御、知識工学が専門分野で、日本版スペースシャトルの飛行実験に関わったり、アクアラインを掘ったりしていた。
VoIPに関わったことで通信も専門分野に加わり、最近はネットワークセキュリティに注力している。
https://www.udc-synchro.co.jp/

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